白山〜別山周回 ~故郷の山・記憶を辿って~



小学生の時分に祖父と登った以来、10年以上ぶりの白山登山。
あの頃は連れられて登っただけだったが、今回は1人で登る。

今でも覚えているのは

疲れた時にブドウ糖をくれたこと
祖父がとても大きなザックを背負っていたこと
万年雪を見たこと
雲の中を歩いたこと
他の登山者に花の名前を教えていたこと
室堂でラーメンを作ってくれたこと
白山神社で飲んだお神酒でゲーゲーしたこと
室堂のトイレがとんでもなく臭かったこと
ご来光を拝んだ後のインスタントらしき味噌汁が死ぬほど美味しかったこと
吸い込まれるような満点の星空が見れたこと

あのザックの中に何が入っていたのかは分からないけれど、子供二人を連れての登山だったから、きっと希望と責任が詰まっていたんじゃないかと思う。

別当出合〜甚之助ヒュッテ

お盆とはいえ一応平日なのに観光地並みの人の数・・・。
市ノ瀬ビジターセンターに駐車してバスで別当出合へ

別当出合。昔は夏でもここまで車だったような。

別当出合から吊り橋を越えて山道に入ります。 この吊り橋は良く覚えている。吊り橋だけど大きくワイヤーも多いのでほぼ揺れない。
最初に少し急勾配を登りますが、後はよく整備された道をテクテクと登ります。 御嶽の時も思いましたが、整備されている道は淡々と登れば無理なく標高を上げられるのでいいですね。


ものすごく整備されている

白山山系で最も親しまれている山道なので、登山者然とした人ばかりではなく子連れの家族なんかも結構見かけました。

ソバナ。祖父は花に詳しかった。

中飯場。ここまではサクッと。休憩なしで通過
どれだけの年月と労力をかけて整備したのだろうか
甚之助ヒュッテ。名前だけ憶えている。ガスって来た。
甚之助ヒュッテまできてしばし休憩。ガスが出てきました。
名前はよく憶えているが見た目は憶えていない。

甚之助ヒュッテ~黒ボコ岩

シシウド。たくさん咲いていた。

ノアザミ。他の山でもよく見かけますね。
トリカブト。猛毒を持つが故に美しい色合いなのでしょうか。附子を思い出す。
小さな滝があります。展望の良さそうなトラバース路を歩きますがガスガス。

可愛らしいハクサンフウロ。もう少し寄りたい。。。

黒ボコ岩の近くまでくるとおそらく展望が開けているかと思うのですが、ガスが多く展望は望めませんでした。 途中にあった延命水は見覚えがあったけど登山道上にあり、汲んでいると邪魔になりそうだったのでスルー。

延命水。記憶にはあるが思ったより狭い道沿いにあった。

黒ボコ岩に到着。ガス。

黒ボコ岩~室堂

晴れていれば御前峰山頂が見えるであろう開けた湿地帯に出ます。
ガスがなければ絶景ではなかろうか
残念ながらガスでしたが、高山植物は綺麗でした。 時期や天候によっては最高のお花畑が見れそうな場所です。
イブキトラノオ。伊吹山に多く咲くそう。来年は伊吹山にも登りたい。

室堂までは少し登ると着きます。

木道の後少し登り上げる
室堂に到着

20年弱ぶりの室堂です。見た目は記憶のままでしたが、中は改装されて綺麗になっていました。 また他の山荘を見たうえで改めて感じましたが、室堂、デカイ。 山腹にこれだけの施設を構え、維持するのは大変だろうと思います。
綺麗で明るい室内。リニューアルされてますね。


コーヒーで一服

郵便局があってびっくり!妻に木の葉書を出してみました。
郵便局!?があり、木のハガキがあったので妻に向けて送ってみる。 (どちらにしろ自宅に届くんですが) そういえば登ってくる途中に〒マークのカンカンを背負った人を見かけたけどそういうことか。

以前はどうだったか覚えていませんが、ゴミは室堂で購入したものも含めて、全て持ち帰りです。 降りてくる登山者がゴミ袋を抱えているのはそういうわけか。というかどんだけ飲んだのか笑 ゴミ問題はアルプスでも昔はひどかったみたいですね。(雑誌で北岳の昔の写真を見ましたが、大変なことですね) 山荘で捨てるとスタッフの方がそのゴミを降ろすのも一苦労。山荘で食料や飲料を利用出来るようになっているだけでもありがたい話だからゴミは持ち帰りましょう。

室堂~大汝峰

時間があったため大汝峰まで行って池も見てこようかと思い出立。 花に癒されながら岩場を登ります。利用者が群を抜いて多いであろう御前峰までの道から外れるので、 途端に登山道らしさが出てきます。こっちが普通だとは思いますが。
参道の雰囲気がある御前峰までの道

途中で逸れると急に山道になる
ミヤマキンポウゲ。花の名山なだけあって高山植物が多い
途中で雪渓を発見!そこから出る雪解け水の冷たいこと!雪渓のツルッツルなこと! ルート上は解けている部分だったので問題ないですが、雪渓上を横切るのは登山靴だけじゃ無理だと理解しました。 雪渓は至るところで見ることが出来ましたが、大きさはあまり大きくありません。 昨今の暑い夏で万年雪も縮小しているのでしょうか。
雪渓です!

つるつるですね。
雪渓を過ぎると池を横目に大汝峰へ登っていきます。岩がゴロゴロしていて登って楽しい感じ。
このあたりで一気に土砂降り。レインウェアの装着も間に合わず濡れる。
・・・が、ここで大粒の雨が。ガスの中だったので雨は降らないだろうと高をくくっていたがとんでもない。 豪雨強風にさらされました。稜線上だから遮るものもない。 ホントにいきなり本降りになったのでレインウェア、レインカバーを準備するまでに既にずぶ濡れ。 特に一眼の収納が面倒。そこで慌てて手間取りました。経験のなさを実感。 雨の中大汝峰までなんとか登り、早々に退却。
どうにかこうにか大汝峰まで到着

サクッとお参りして戻る

退却中に雷も鳴り出し、焦る焦る。 雨だけならいいですが、稜線上で雷はマズイ。室堂まで急ぎ避難します。

室堂宿泊

実は大人になってから初めての山荘宿泊。(以前駒峰ヒュッテに泊まったが営業前だったので土間泊) 避難してからずっとガス、雨でやることもなかったので早々に受付。

受付を済ますと宿泊棟に案内されます。 宿泊棟は乾燥室、ストーブもあって充実。宿泊部屋は二段ベッドタイプ。基本集合部屋ですが、 料金違いで個室も出来たようです。 時間があって暇だったのでロビーにあった雑誌『岳人』を読んで時間をつぶす。 食事は以前はインスタントの簡素なものだったように記憶していたのですが、改善されたのか選べる主菜に副菜が複数、デザート付きでご飯味噌汁おかわり自由と中々充実していました。 山の上で食べるご飯はどうやっても美味しいですね。


美味しかったです。品数も豊富で嬉しい。

ぶらぶらしてるとちょっとだけガスがとれた

白山奥宮。昔ここでお神酒を飲んでトイレでげーげーした。


~2日目~

室堂宿泊

3:00に起床し外の様子を伺うと満天の星空!ガスがない!やった! 写真に収めようと30分ほど格闘するもうまく撮れず断念。(1分くらいシャッター開けたけど全然露出足りん・・・) 4時前にはヘッデンを装着して登り始める。ご来光が見れそうな日は神社にて4時に太鼓が打ち鳴らされるそうです。 御前峰までは整備された階段を登っていく。山頂ピストンだからか軽装の人もちらほら。(寒くないのか・・・)
暗闇にヘッデンで浮かび上がる

カエルに仰天する

寒風吹きすさぶ中、ご来光撮影のため場所を陣取りひたすら待つ子。フリースとレインウェア着こんでもまだ寒い。 5時過ぎると神主さんが装束で登場!(寒くない!?) 岩の上で白山の歴史、登山についてご高説してくれます。勉強になります。
夜明け前の美しさ


北アルプスが見える

ご高説をいただきます

ご来光はそれはもう美しく。御嶽、乗鞍、穂高、槍も見えて大満足。 最高でした。昨日雷雨にまみれた大汝峰もその雄姿を見せてくれます。反対側には本日縦走予定の別山。 こちらも堂々たる山容です。
ご来光~

昨日はつらかった大汝峰も美しく

別山が全容をあらわにする

山頂にも神社があるので参拝して下ります。 本当は翠ヶ池も巡りたかったんですが、雪が残っているようだったのと時間の関係で今回はスルーを選択。

室堂~南竜ケ馬場(トンビ岩コース)

一番短いトンビ岩コースで南竜へ。 が、中々沢道のようにガレガレしていてちょっと下りにくい。向こうに見えるエコーラインの方が展望も良さそう。 次回はエコーラインにしよう。
再度お参りを済ます

朝ごはん。中でも良かったんだけどこれを食べてみたかった!もっちもち

こちらにも雪渓が

エコーラインの方が気持ちよさそう。。。

トンビ岩

 途中には大きなトンビ岩があります。
別山と南竜ケ馬場が見える

南竜ヶ馬場~別山

南竜山荘の近くの沢で水を補給。白山山系唯一のテン場もあります。
南竜山荘。結構大きい。

沢沿いには車ユリが

そこからぐっと下った後に沢を渡渉してから急登が始まります。 1日目の整備された穏やかな登山道とは打って変わって。

チングルマの花!初めて見ました。

白山山系唯一のテン場。

木道をゆるりと歩く

別山方面に向かって下る。

沢を渡渉。ここは陰になっており水が冷たくて良い
かなりの急登。きっつい。

ヒィヒィ言いながら急登を登り後に上げるとそこからは快適な稜線歩き。(巻いてるところもあります)



なんと雄大な山なのか
残念ながら御前峰はガス、西側もガスが多かったですが、南竜付近は良く晴れており展望が楽しめました。 緩やかな登り下りを繰り返して別山へ。途中地図にある危険個所がありましたが、慎重に通過すれば問題ないかと思います。 別山につくころにはガスが上がってきてしまい、山頂は真っ白。残念。 こちらにも神社が。参拝して早々に下山に取り掛かります。
深山竜胆(ミヤマリンドウ)。かわいい

トラバース。晴れてたらすごい気持ちよさそう

別山山頂は残念ながらガス

別山~市ノ瀬

チブリ尾根と呼ばれるコースを延々と下ります。 最初は稜線上の尾根道を歩きますが、すぐに背丈ほどの熊笹が乱立する道へ。しばらく 岩と笹と格闘しながら下ります。道が狭い上に笹が迫ってくるため気持ち的に疲れます。 藪漕ぎマイスターへの道は遠そうです。
すごい笹道
しばらく下ると避難小屋に到着。
避難小屋

中は綺麗です

昼飯にコンビーフ。もうちょっと調理方法を工夫しないと

避難小屋で昼食を取っていると、近くにいたおじさんから1時間後に雷雨が迫っているとの情報が!(教えてくれてありがとうございます!) 食事後そそくさと下り始めます。 しばらく展望の良い道が続きますが、また笹と狭い道へ。 同じような道が延々と続くと気が滅入ってきます。
ちょっと開ける


下る下る
しばらく下っていくと通常の樹林帯に。 この辺りからは少し道幅も広くなり、一気呵成に下っていきます。
いろんな色があるゴゼンタチバナ

途中水場がありますが、登ってきた方の話では枯れているそうです。(白山全域で水不足。室堂でも水不足と言っていました) 登山口まで下りきれば後はアスファルトの道をテクテク下れば市ノ瀬駐車場に到着です。 車に乗って5分ほどで土砂降りになったのでセーフ。

振り返り

■高山の天気

平地でもそうですが、日本海側の天気は変わりやすい。晴れてるかと思ったら雨が降る。 ある程度覚悟はしていたつもりでしたが稜線上の豪雨強風は思いのほか強く、また雷は恐怖でしかなかったです。 降りそうだと思ったら準備を早々に行う、進退の判断をすることが大事ですね。 天気予報からの読み方が難しいなと感じました。 ガスの量が多く、想像以上に早く上がってくる。

■白山

御嶽山以上に親しまれている山だなという印象でした。逆に修験者のような人は見かけませんでしたが。 御嶽ほど宗教の感じはなく、より庶民的な感じです。 しかし登山道の整備され具合は同様の印象を受けました。 また山腹に平坦な場所が多くある印象。アルプスに比べ標高は低いですが見晴らしが良いところが多く、晴れていれば 展望が楽しめます。雪が多いから高い木が育ちにくいんでしょうか。 砂防新道を利用する分にはアクセスが容易な高山だと思います。(御嶽と同程度) 他の道は登山道然としているのでそれなりに経験と準備は必要かと。 ただ山頂付近はしっかり高山なんだなと実感しました。

■山荘

今回時間を持て余しましたが、意外と山荘でまったりと過ごすのもいいものだなと思いました。 山に関する本が多いので、それらをじっくり読んでいるだけで時間が過ぎていきます。 スタッフの方々も非常に親切丁寧だなと感じ、快適に過ごすことが出来ました。

■レインウェア

モンベルのゴアでないやつですが、上記豪雨の中でも防水機能は問題ありませんでした。 透湿性はゴアを持っていないので比べられませんが、羽織ると暑いなとは感じます。

■登山靴

サレワの登山靴で行きましたが雨に濡れた岩場でも思いのほかグリップしてくれました。 (もちろん滑る時は滑る) ビブラムソールは濡れた岩場や木の根に弱いと聞いたことがありますが、これは問題なさそうです。 (もちろんビブラムソールにも種類があるためどのビブラムかで変わると思います) ただいただけないのが靴の足首部分の上部がほつれて中身が見える状態になってしまいました。 数回の使用でほつれちゃうって?しかも中見えてたら防水は? スパッツ使えば問題ないかもですが、うーん。バリエーションルート歩くとかしてないんですけどね。 ソールの修理はよく聞きますが、こんなとこ修理出来るのかな。とりあえず購入店に持っていこう。


持参した機材


・Nikon D500
・Nikon AF-S DX 16-80mm f/2.8-4E VR
Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

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