中央アルプス縦走〜池山尾根-空木岳-千畳敷 初めてのアルプス縦走〜

空木岳より東川岳方面

平日に連休があり、これは行くしかない。
と思い立ってどこに行こうか思案する。

先日烏帽子岳から見た中央アルプス、木曽山脈が素晴らしかったのでそこに行くのはどうか。
地図しばらく眺めていると、池山尾根を使えば帰りはロープウェイで戻ってこれる。
登りの標高差は2000m超えと中々にハードそうだが、下りがロープウェイを使えるのであればなんとかなるだろう。

丹沢の縦走も経験不足ながらも歩けたからどうにかなろうと思い計画。
この時点では木曽山脈の大きさを見誤っていた感が否めない。若干勢いに任せたことも否定しない。

しかし行ってみないことには分からないしやってみないことには分からない。
経験不足は経験を積むことでしか補えない。
もちろん知識を上手く使えば良い経験を積めるスピードは変わるだろう。

計画は以下の通り。

駒ヶ根スキー場⇨池山尾根⇨駒峰ヒュッテで宿泊⇨空木岳⇨檜尾岳⇨宝剣岳⇨木曽駒ケ岳⇨千畳敷⇨ロープウェイ⇨バス⇨徒歩⇨駒ヶ根スキー場

ただ1週間前の八ヶ岳以来膝が全快していない状態でこの計画が随分と無茶だった事が分かる。

結果的には極楽平に着いた時点でギブアップ。
そのまま千畳敷に下ってロープウェイで降りました。

池山尾根

駒ヶ根スキー場に駐車して登って行く。
林道を車で通れるが、この時は通行止めだった。
池山林道登山口までそこそこの距離と勾配があるため、林道を進める場合は奥まで行った方がその後に響かなくて良い。

準備完了
準備完了

駒ヶ根スキー場奥の登山口
駒ヶ根スキー場奥の登山口




池山林道登山口までは特に迷う事もなく標識通りの道を進む。散策路になっていて分岐がいくつかあるが、基本登る方向である。

登山口に着くと開けていて東屋もあったのでしばし休憩。本日の天気は芳しくない。
林道は短縮できた方が良いだろう

しばらくは林道と名のつく通りゆるやかな道が続く。途中池山との分岐があり、せっかくだから寄ってみたが案外勾配があって疲れるし、池山山頂もガスガスだった。
池山までの道はありがたいことに笹を刈り払ってあったため普通に歩くことができた。
池山方面へ
池山方面へ

かなり笹がある
かなり笹がある


池山山頂。展望なし
池山山頂。展望なし

一応三角点はあった
一応三角点はあった

池山を過ぎて少し進むと池山避難小屋がある。
非常に綺麗で広く、窓も大きく作ってあるため明るい。樹林帯の中にある小屋だからだろうか。

池山避難小屋
池山避難小屋

 水場もある
水場もある

中はかなり綺麗で広い

テラスもある

近くに水場もあるためここで1泊するのも楽しそうだ。しかしこの位置に避難小屋があるのが少し不思議ではある。どういう場合に利用するのだろうか。

本ルートに合流してもしばらくなだらか。
マセナギを過ぎたあたりからトラバースの登りが始まる。階段や鎖を使って登っていく。迷尾根や地獄と名のつく標識があって慎重に進むが特に問題になるようなところはなかった。
昔の名残だろうか。

なだらかな道を進む

蛇!びっくりしたー


マセナギ近く
体感的にここの登りがとにかく長い。延々と登る。少し嫌になってきた頃にやっと空木平と尾根の分岐点に出る。





ハクサンシャクナゲが咲いていた
一体どこまで続くのか。。。

やっとの思いで分岐に到着

空木平~駒峰ヒュッテ

駒石も見たかったが天気が良くなかったので空木平から登る方を選択する。

このあたりから高山植物が増えてくる。
特にニッコウキスゲが咲き乱れていて美しい。

ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲ

ニッコウキスゲの群落
ニッコウキスゲの群落

可憐なハクサンフウロ
可憐なハクサンフウロ

ここで一時土砂降りの雨に。
新調したモンベルのレインウェアをさっそく着てみるが、全く浸水しないし蒸れも多少気になる程度でいい感じだ。

しばらくなだらかなトラバースを進むと空木平に到着、避難小屋が見えてくる。
この避難小屋、噂ではいわくつきらしいが見た目は非常に綺麗で新しい。
高所の避難小屋だけあって明かりとりの窓は小さく中は暗めだ。近くに沢も流れているため水も問題ない。

ここまででかなりの体力を使ったのと、山伏、八ヶ岳からひきずっている膝の痛みが限界近かったため一旦大休止を取る。

空木平小屋
空木平小屋

中は綺麗で広めだ。疲れ切って荷物くしゃくしゃ
晴れていれば空木平のカールもさぞ絶景だろうと思うがあいにくのガス。
いつかリベンジしたいが果たして。

元々ここで泊まってもいいかなと考えていたためマットとシュラフは持参していた。
しかしせっかくだから駒峰ヒュッテまで登ることにする。

避難小屋を出ると岩場の登りになる。
特に急な所や危険なところはなく淡々と登っていく。
所々に花が咲いていて嬉しい。


イワカガミ
イワカガミ



大休止したために膝が冷え切ってしまったのか痛みが激しく、ものすごくゆっくりでしか登れない。また新靴が案外足にあっておらず痛みも出ている。
湿布は貼っているのだがあまり効果がない。

それでも登り続けるとやっとのことで駒峰ヒュッテに辿り着いた。
おそらくここが今回の山行で最もしんどいところだったと思う。

空木岳は目の前

到着ー!と思いきや。。。嫌な予感
到着し、一気に安堵感が出たのもつかの間、ヒュッテの雨戸が閉まっている。
まさか。。。

人生初の土間泊


まさかまさかの駒峰ヒュッテ営業は数日後だった。ニアピン。
7月なんだし開いているだろうと思っていたが甘かった。
きちんと調べてくるべきだった。皮肉にもdocomo電波(mineo)は入ったのでそこで事実を知る。

むちゃくちゃ焦ったが、土間だけ冬季用に開放されており、観念して土間に腰を据える。





人生初の、土間泊である。





ただありがたいことに土間には就寝用の板が置いてあり、戸板もかなりしっかりしていたため扉を閉めてしまえば意外と居心地が良い。1人だけだったのも幸いした。
住めば都か。

少し外に出てみると相変わらずのガスだが明日の縦走路が少し見えてきた。
駒峰ヒュッテのテラスで優雅にビールかカフェを飲むのに少し憧れていたがやむなく敗退。

明日あそこを歩くのか

ふぅ

絶景テラスなんだけどね

明日晴れるといいなぁ

雲の動きが面白い

日が暮れる
この日食事はレトルト米を試してみたが案外美味しくない。
アルファ米の方が良いのかな?

シュラフはカインズホームで3000円の15℃まで対応のもの。
建屋がしっかりしているからか、サーマレストのセルマット、フリースにウインドブレーカーで十分快適に寝ることが出来た。

後は特にやることもなくなったため就寝

【2日目】空木岳~木曽殿山荘

3:30に起床、雑炊を朝飯にとって行動を開始する。
ヘッデンをつけて空木岳山頂を目指す。
夜明け前

軽く上るだけで山頂に到着。
ちょっと早く来すぎて夜が明ける気配がない。ガスもあって残念。

空木岳山頂
空木岳山頂

だけど今日は縦走路を歩くのであまりゆっくりもしていられないため木曽殿山荘方面へ向かう。最初のうちは大きい岩がゴロゴロしているところを飛び越えながら進む。
矢印があるため進めるが、なかったら自分のような経験の浅い者はすぐ行動不能になってしまいそうだ。





歩いていると夜が明けてきた。ご来光だ。













泊まり山行の醍醐味か。本当に美しいし、下界では見ることが出来ない景色だ。
いつか妻や息子も連れてきたい。

木曽殿山荘が見えてくると一気呵成に下る。東川岳への登り返しがエグそうだ。
かなり急でずっと山荘が見えているのだが中々近づいてこない。
それでも下っていると到着。




山荘で飲み物を補給してしばし休憩の後に出発。今度は登り返しだ。

木曽殿山荘~東川岳~熊沢岳~檜尾岳







東川岳への登りはとかく急だったが淡々と登っているといつの間にか着いた。
中々に広い山頂だ。

山頂もそこそこに次へ進む。
ここからは岩場を歩いたり、木曽谷側にトラバースしたりを繰り返す。
不思議と伊那谷側は樹木がわりとあるが、木曽谷側は岩が多い。

また歩いている最中大きな動物の糞を見つけ、強い獣の臭いを感じた。
風対策でレインウェアを上下着込んでいたが、ハイマツにこすれる下のレインウェアに強い臭いがついてしばらく取れなかった。
おそらく近くに大型の動物(熊?)がいたのだろう。出会わずに済んだのは幸運だった。


縦走路
縦走路

空木岳。美しい山容だ。
空木岳。美しい山容だ。



熊沢岳。中々近づかない



熊沢岳へは見えているのだが中々近づかず、偽ピーク(旧ピーク?)もあった。
YAMAPのコースタイムより結構遅れている。途中で一人同年代くらいの方とすれ違ったが、やはりコースタイムよりかかると驚いていた。

後で考えたが檜尾岳とロープウェイを利用する方が登山者が多く、こちらの方まで来る人は少ないのではないか。なのでよく歩ける人のコースタイムの平均で早くなってしまっているのかな?と思った。




御嶽山が見える


途中かなり進みにくい岩場があった。
狭く急でザックがひっかかる。


かなり狭い
地味で分かりにくいがここも通りにくかった



檜尾岳まであと少し

檜尾岳に到着

檜尾岳~檜尾避難小屋~千畳敷


檜尾岳まで来ると結構人がいた。おそらく千畳敷の方から来るのだろう。
ここで水が不足するので一旦避難小屋まで降りて水の補給と昼飯にする。
避難小屋までの下りは結構急でザレている。

何かの後だろうか

檜尾避難小屋
檜尾避難小屋

中は綺麗だがトイレは臭った

マルタイの棒ラーメンはうまい


水場は避難小屋からさらに下ったところにある。
避難小屋には確かホテル千畳敷のオーナーの寄付でシュラフが複数置いてあった。
素晴らしくありがたいことだ。

遭難のリストなども貼ってあり興味深かった。

登り返していよいよ木曽駒方面に向かうが体力と膝が限界に近い。


三沢岳。いつか行きたい。





檜尾岳から先は今までと打って変わって歩きやすく整備された道が続く。
やはり歩く人が多いのであろう。

そこから見える三沢岳が中々に魅力的だった。
一つだけ縦走路から外れており、静かな山歩きが楽しめそうだ。



最後の登りを終えて


極楽平の分岐
極楽平の分岐
極楽平に到着して千畳敷が見えると一気に気持ちが緩み、当初の予定を変更して下ることにした。今ならまだ早い時間に家にも帰れる。
千畳敷まで意外とゴツゴツした道を下っていく。




あと少し
遂にロープウェイ乗り場に到着!自販機があることに驚き、ありがたく利用させてもらう。疲れた体に炭酸が染み渡る。ビールなら最高だが運転がある。





登山者から観光客まで様々

ロープウェイに乗る時に縦走ですか?と声をかけられた。いで立ちで分かるのだろう。
ロープウェイは本当にあっという間に下る。昨日の延々と続いた登りは一体なんだったのか。軽い罪悪感のようなものを覚えながら、人智の力にも大いに感謝する。
ロープウェイじゃなかったら下れなかっただろう。

最後はバスで

振り返り

■靴

好日山荘にてフィッティングしてもらったキャラバンの靴で行った。フィットしたものを選んだつもりだったが思ったよりきつく、擦れてとにかく痛かった。
またコバ付きの靴はバリエーションを歩く人向けだと言われてキャラバンのグランドキング入門モデルにしたが、後日、案外コバ付きの岩稜帯向けの靴(サレワを購入)の方が圧倒的に岩場で歩きやすかった。

靴選びもやはり自分の感覚を大事にした方が良いなと感じた。

■登山者

途中すれ違った中高年の方々の元気な事。
若者よりよっぽど元気な気がする。
負けてられないと思うが体は正直でいけるところまでしか行けないのだ。

■宿泊の下調べ

駒峰ヒュッテが入れないことを知らなかったのは痛恨のミスだった。一番の想定外。
テントを持っていなかったので空木平避難小屋まで戻るか木曽殿山荘まで行くかも考えたが、あの時の体力や膝の痛みから考えると明らかに危険だったので土間泊にしてよかった。

土間泊自体は案外快適だったが、一瞬パニックになったのが問題だ。
冷静にならないと対処を間違えるし、どうなっても大丈夫なようにビバークセットは揃えるべきか。

■持参した機材

・Nikon D500
・Nikon AF-S DX 16-80mm f/2.8-4E VR
Nikon AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR

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